top of page
執筆者の写真Ken.Morimoto

日本の家を守りたい。田中工務店。


2008年ごろだろうか? 僕は岡山で珪藻土壁の普及と自然素材の家づくりに燃えていた。 もうあれから10年以上経つので、今日は少しウレシイカベが生まれる前の話を書きたいと思う。 当時は珪藻土ってちょうど盛り上がり掛けの時代で樹脂で固める壁やクロスに珪藻土を配合したものまですべて珪藻土って言われていた。 うちは1995年から珪藻土を扱っていたし、漆喰系の珪藻土がどのように優れているかということにかけてはきっと日本中でどこよりも知っていただろうし、施工のノウハウも持っていた。 当時、エコ・クィーンという珪藻土壁があって(今でもある)そこの代理店を岡山でしていて岡山だけで日本中で最も施工量の多いのが当時の僕の会社、空間工房だった。(今のウレシイコルセ) 日本国内でのメーカー内でのシェアは10%以上がずっと続いていたから、岡山県だけは珪藻土って塗り壁の知名度が以上に高かった。(笑) その時に羊毛の断熱材を扱う金沢のムラモト、大阪のコボット、岡山の空間工房が自然素材の普及と日本の製材所、こだわりのメーカーを繋いで建材のセレクトショップのような集団を立ち上げようと、ヤマトタテルという業界の横を繋いだ集団を作ろう! って活動して、今は亡き大阪のM`s建築工房の三澤康彦さんの設計でジャパンホームショーに本物の総二階の家を建てた。 あれは今から思うと狂気だった。製材所も含め、多くの企業の協力をいただき、ほんまに建ててしまった。 あれは実はムラモト、コボット、空間工房。この3社がそれぞれこだわりと貫く姿勢を持っていたからこそできたことであったし、特にコボットの田中さんの行動力によるところが大きかった。 あの時、空間工房はメーカーではないのでそれをしたところで正直何のメリットもなかったのだが、日本の家に塗り壁はほんとうに必要とされている。 塗り壁の良さ、漆喰系珪藻土の良さを日本中の人に知ってもらわないといけない!! そう思って活動に参加した。 いや、一左官屋にとってこれはほんまにえらい出費と時間だった。 しかし、そのおかげで田中工務店、岡庭建設といった東京の工務店と繋がったり、こだわりの製材所や木工所、塗料メーカー、キッチンメーカー。そういう繋がりが今でもある。 その結果、一左官屋であってはもうダメだ。素材から作って日本を変えないと!! という思いが強くなるきっかけだったように思う。 そうそう。その時の田中工務店。 えらく真面目な職人たちを引き連れた東京の田中工務店の田中社長。 いつかはこの方と仕事がしたい。そう思ったのがその2008年頃だった。 まさか東京に来るとは当時思ってもいなかったし、ウレシイカベの開発が始まったのが2012年だから、15年越しの現実化と言える。 その田中社長から、リフォームの依頼がやってきたのだ。 『もりもっちゃん。宮大工さんが建てた家で壁塗りをして欲しいって家のリフォームの依頼があって、ウレシイカベ塗ってもらえるかな?』


そりゃ。うれしかったよぉ。 ほんとうれしかった。 一軒、一軒、仕事をしながら塗り壁の良さとウレシイカベの空気感。 そして職人森本の仕事を見ていただきたい。 そうやって今東京を拠点に全国に工事に行ってる。 今回の家、不思議なのはダイニングキッチンに和紙が貼ってあるんだけど、キッチンの側にはプラスターボードのままになっていたり、ダイニングの1枚の壁が漆喰だったりする。


この1枚の漆喰壁の理由は家には塗り壁が最低でも少しはないといけない。和紙だけではいけないんだ。 という宮大工のこだわりだったそうで・・・。 これ・・・実はすごくわかった方なんだなってそう思う。 壁を塗るってこと。特に漆喰を塗るってことは 家の空気に対してとても大きな意味がある。 あちこち、聚楽壁は塗ってあるんだけど、漆喰はそこの1箇所。 きっと宮大工さんの嗅覚で和紙の方がリビングには合う。 こそっと本音で言うとその宮大工さんの周りにきっと納得のいく左官職人さんがいなかったんだろうな。(ごめんなさい。そう感じる)

その結果、和紙という選択肢になったんだろうと思う。 本当はリビングには漆喰を塗りたかったんだろうと思うんだけど、その時の大工さんの判断では和紙の方がいいなってことになったんだと思う。 その証拠にキッチンの近くのプラスターボード下地のままだったところは和紙だと汚れすぎるという判断できっと塗りたかったんだと思う。 だけど塗りたくないなにかがあったんだと・・・。 それと和紙って袋張って貼り方がされているんだけど

この貼り方の前提って剥がすことを想定されているように思う。 剥がしてみて思ったんだけど、すごく剥がしやすい。 障子って毎年のように張り替えるのがきっと本当なんだと思うんよね。 畳の張り替えもそうだけど、汚れるけどもきれいになる。 和紙も本来は張り替えが想定だと思う。 だから、住み方自体、生活の仕方自体が変わっちゃったんだよね。

家に手を入れながら ずっと新しい状態であったりきれいな状態を保ちながら住める。 そういう今でいう持続可能な住まい方が日本にはあったから 日本中、どこの街にも畳屋さんや左官屋さんがいたし 大工もいた。 きっと住み方、生き方もスレスレじゃなかったし 江戸のまちなんかしょっちゅう火事で家を建て直してたっていうんだから 本当に職人たちは常に必要とされてたんだと思う。 それが今は職人がいないっていうのよ。 左官なんてもう絶滅危惧種に認定されたんじゃないかと思うのよ。 今回、田中工務店の仕事。させてもらって すごく思った。 なぜか巾木のないところがあって そこに巾木を貼ってもらったんだけども 若手の監督が貼ってくれたあと隙間があって 塗りで埋めようかなって思ってたところに 田中社長がやってきて、これちょうどいい木があったら 埋めたらいいんだけどこういうところが大切だよね。

って。 そしたらなんでか僕が杉の板、しかも柾目のをもってて これでいけますかって?

ちゃっちゃってそこを田中社長埋め木をしてくださって。 あー職人の文化っていいよなぁって。 そりゃ手間かかるんよ。 でも手間をかけるからうれしいができるんよね。 今、日本の家の99%はビニールクロスだという。 ということは建築をしてる設計士や工務店の監督なんかも 塗りの家の良さなんて ほぼほぼ知らないの。 だってクロスの家で生まれて育ってるんだから。 感覚的には電子レンジしかない家で料理をしてる感じ。 ガスコンロで火で調理するんじゃなく チン!ってできた料理しか知らない人たちが 何がおいしいかって喋ってるって感じ。 だからさ。 日本の家に、家の中に少しでも塗り。 例えばトイレや寝室だけでも塗り。 生きるってこと

手間をかけて作ったもののうれしさや

自分自身を包んでくれる空間の心地よさ。

知ってもらえるような提案。 ちょっと力を入れていかんと。 そうありたい!!! そう心新たに。 大工・・・ 本物の木・・・。 いいなぁ。 やっぱりいい。 田中工務店さんとのお仕事で なつかしい思いと 刺激を受け心新たに 決意したのだ。

閲覧数:28回0件のコメント

Comments


bottom of page