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原点復帰。

更新日:2019年9月3日

僕が珪藻土壁の仕事をしようと思ったのは二十歳の時だった。 今、44歳の自分がなんのためにこの仕事をしているのか? そう考えたときに、原点に立ち返ってみた。 当時はビニールクロス全盛で・・・いまでもかもしれないが 全く塗り壁は注目されておらず、左官の仕事はなくなると言われていた。

僕が気になったのはその仕事ではなく 窓ガラスの結露と家の中のカビだった。

日本はこれだけ湿気の多い国なのに そして毎日生活すると、炊事、洗濯、お風呂、呼吸・・・ 湿気は家の中で発生するのにビニールクロスの家だと どうしても、家の中の湿度が上がってしまう。

ちょうど僕は高専を卒業し一人暮らしを始め そのコーポの居心地の悪さにイライラしていた。 そのときに珪藻土という土壁があることを思い出した。 学生時代に2度の停学をくらい (何も悪いことはしていない。バイクと車の免許を無断でとったというお咎め) その度に岡山市内で塗装屋をしていた叔父のところで住み込みで働いた。 そのときに叔父が力を入れていたのが珪藻土だった。 力を入れていたと言っても ほとんど売れていなかったように思う。 しかし、叔父はペンキは身体に悪い。 でもこの珪藻土を塗ると結露はせんしエアコンも効く、冬でもあったかくて健康にもなる。 そう言ってそれを無性に勧めていた。

コーポの居心地の悪さに その珪藻土を思い出した。 でも正直、家賃の安さが居心地の悪さの原因だろうと思っていた。 39800円!

それから僕は65000円のところに移り住んだ。 なんのことはない。 間取りが広くなって新しくなっただけで 居心地の悪さはさらに増した。 エアコンからは冷たい風は出るものの涼しくはならず 冬はストーブの前から動けなかった。 そこで僕は大家さんを不動産屋さんに尋ね

そのあたらしいコーポの中に珪藻土壁を塗りたいと

陳情した。 もちろん答えはNO!だ。 そこで気がついた。 このままではいけない。

住む人のことを考えた家なんて

ほとんどないんだ。

自分で家を建てる人でさえ

ビニールクロスかボンドで塗り固めた塗り壁。


珪藻土壁がいいって言ったって 誰も聞いちゃくれない。

高いんだろ。

その一言で終わりだった。


当時の僕は

このままではいくら珪藻土の壁がいいものだって

誰もそのことを知らないまま

この壁は忘れ去られてしまう。

誰かがこれを知ってもらうために動かなければ・・・ そう思ったこともあり就職した会社を一年で辞めた。 そして開業した。 とにかく知ってもらえば少しは変わる。 そう思いみんながこの珪藻土壁ってもののことを知ったら 僕はまたあたらしいことを始めよう。 本気でそう思っていた。 しかし、そんなに簡単ではなかった。 当初の予定では とてもいいものであれば また塗りたい、使いたい。ってなって 僕は大成功するはずだった。 それが全然売れない。 しかも売れても壁を塗った職人が失敗して

クレームが来るということが頻繁に起こった。 ひび割れ、色むら。

その繰り返しだった。 その失敗が今はありがたい。 すべてがノウハウとなったからだ。 当初は材料販売だった僕が 施工請けを始めたのは その工事の責任を毎回僕がとっていたからで 職人の失敗を防ぐには自分が請け負うしかなかった。 そんなことが数年続き 気がつくと僕は 他の仕事や夜勤、新聞配達、もろもろのことをしながら 全てをこの壁の仕事に費やしていた。


全くもってなぜだかわからない。 ただただいつかはうまくいく。 そう思って働いていた。 転機はある大工さんが勧めてくれた家で 家中を塗った。 天井も壁もぜんぶだ。 その家のオープンハウスで3軒の新築が決まった。 あまりに居心地がよく、来たお客さんがみんなビックリして この壁の家に住みたい!!ってなった。 すべて僕が勧めた珪藻土でだ。 それからその工務店が目覚めた。 これは売れる!! そう踏んだんだな。 そこからだんだんと仕事が増え そこから10年近くは 全国で一番珪藻土を塗っていたんじゃないかって思う。 やればやるだけ 仕事は増えたが職人の数はそのままだから ほんとうにハードな日々だった。笑 岡山県に当時は住んでいて 僕は当時は市販の珪藻土壁を塗っていたんだけど 全国シェアの10パーセントを僕らが持っていたから 当初の目的は達成したとも言える。 なぜこの仕事を始めたのかについて それは珪藻土という土の可能性と必要性を感じたからだ。 そして その可能性を追求すべく、自社開発の珪藻土壁ウレシイカベが生まれた。 売れるから売れそうだからと 珪藻土という塗り壁を仕事にしたのではなく なかなか売れないと思ったから仕事にした。 これは羊毛断熱材も電磁波対策も同じ理由だ。 説明がいるけれども この世界に必要とされている。 だからこそ人が介在する意味があるし 僕は仕事にしようと思った。 道半ばでの備忘録。 初心忘れるべからず。

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